Kindle出版で専門性を伝える|経験と主張を読者が検討できる形にする

Kindleで本を出した事実だけを、専門性の根拠にはしません。実際に説明できる経験を一つ選び、そこから導く主張、理由、確認できる根拠、扱える範囲を示して、読者が内容を検討できる形にします。

僕は電子書籍を、知識・経験・主張を一つの流れに整理し、読者へ渡す集客のパーツとして捉えています。著名さや肩書きを強く見せることより、人へ説明できる経験から、どこまで言えるかを明らかにすることを重視してきました。

この記事では、一つの主張について理由 / 本人の具体的経験 / 原資料 / 扱える範囲 / 扱えない範囲 / 読者が検討する条件を書きます。読者が主張への賛否や自分への適合を判断でき、追加確認が必要な点まで分かれば完了です。

目次

説明できる経験を事実として書く

最初に、肩書きや出版歴ではなく、実際に行ったことを一つ選びます。経験の範囲を確かめずに主張を広げると、読者がどこまで参考にできるか分からなくなるからです。

次の四項目を、評価を加えずに書いてください。

書く項目確認すること
何をしたか自分が実際に行い、説明できる行動は何か
どの範囲か対象、期間、場面など、経験が及ぶ範囲はどこまでか
根拠に戻れる素材当時の文書、発信、記録などを再確認できるか
確認できないこと記憶だけの部分、現在は確認できないことは何か

事実と確認できないことを分けられれば、その経験を候補にします。肩書きだけ、第三者の評価だけ、原資料へ戻れない実績だけなら、主張の根拠には使いません。

経験そのものを説明できない場合は、扱うテーマを狭めます。出版できるテーマの考え方から見直す場合はEBOOK-1-1へ戻り、誰のどの問いへ答えられるかを確認してください。

経験からの主張と理由を分ける

経験を選んだら、そこから言える主張を一つに絞ります。経験した事実と、そこから導いた考えを同じ文にすると、個人の観察を一般的な結論として広げやすくなるためです。

書く欄一文にする内容見直す条件
僕の主張読者へ伝えたい判断や考えは何か複数あるなら一つに絞る
そう考える理由なぜその判断に至ったか経験と結びつかなければ書き直す
観察したこと実際に何を見て、何を確認したか原資料へ戻れなければ未確認とする

三欄を続けて読み、観察したことが理由を支え、理由が主張へつながっていれば候補に残します。自分の経験から言える範囲を超えて、誰にでも当てはまる結論にしている場合は主張を狭めてください。

主張が電子書籍を使う目的とずれている場合は、次の記事で本の役割と読後の次接点を見直します。

根拠と扱う範囲を明示する

主張と理由がつながったら、読者が確認できる根拠と、適用できる範囲を対応させます。根拠の数を増やすのではなく、一つの主張に一つの確認経路を置くことが大切です。

僕が最初の電子書籍を出したとき、売れた数より気になったのは、読者が中身を薄いと感じて購入を後悔しないかでした。多く届くほど、内容に根拠がなければ信頼を損なう範囲も広がります。出版実績を専門性として見せる前に、主張を支える経験と内容が本の中にあるかを確認します。

確認欄書く内容空欄の場合の扱い
参照できる根拠どの原資料や記録へ戻れるか主張を掲載しない
対象どんな状況の読者へ向けた主張か対象を絞り直す
適用できる条件どんな前提がある場合に参考にできるか条件を確認するまで保留
扱える範囲経験と根拠からどこまで説明できるか言える範囲まで狭める
扱えない範囲経験していないこと、確認できないことは何か対象外を明記する

各主張の直後に、対応する根拠と範囲を一対一で置きます。資格、専門性、実績を実際より大きく見せたり、成果や現在の販売状況を確認せずに書いたりはしません。根拠が不足する場合は最初のH2へ戻り、経験として確認できる範囲から選び直してください。

経験から主張、根拠と範囲、読者の検討へ進む関係を、次の図で確認します。

経験から主張、根拠と範囲、読者の検討へ進む図

図の四段階を、この経験から、なぜこの主張をし、どの根拠で、どの範囲まで読者が検討できるかと説明します。説明できなければ、根拠のない部分を削るか、扱える範囲を狭めてください。

読者が検討できる結論にする

最後に、著者を信じることだけを求める結論ではなく、読者自身が判断できる結論へ整えます。賛成する材料だけでなく、追加確認が必要な点や適用できない条件も示します。

書く項目確認すること
読者が判断できること主張への賛否や、自分の状況への適合を何で判断できるか
追加確認が必要なことこの根拠だけでは決められない点は何か
次に読む情報判断を深めるために、どの情報を選べるか
選ばない場合読者が主張を採用しない判断もできるか

読者が根拠と条件を見て、賛成、保留、不採用を選べれば完成です。結論が肩書きや出版事実を信じるだけになっている場合は不合格とし、主張・理由・根拠へ戻ってください。

専門性を伝えた結果を何で観察するか決める場合は、次の記事で、目的と観察箇所を分けます。

最後に、実際の経験 / そこからの主張 / 理由 / 確認できる根拠 / 扱える範囲 / 扱えない範囲 / 読者が検討する条件を一続きで説明します。読者が著者の肩書きに頼らず、内容への賛否や自分への適合を判断できれば、Kindle出版で専門性を伝える準備は完了です。

全体の目的を見直す場合は、電子書籍マーケティング総合ガイドへ戻ってください。

Kindle出版のブランディングは、専門性を検討できる形にすること

本を出せば自動的に権威が得られるわけではありません。電子書籍は、散らばった経験・主張・根拠を一つのテーマで読み返せる形にまとめる媒体です。

示す要素読者が確かめられること
経験実際に何を扱ってきたか
主張何を大切だと考えているか
理由・根拠なぜそう判断するのか、どこまで確認できるか
範囲何に答え、何は専門外として扱うか

SNS、動画、音声を否定する必要はありません。同じ専門領域を発信しながら、本では一つの問いへ順序立てて答え、読者が判断を検討できる状態を作ります。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

参考になったらシェアしよう!

この記事を書いた人

中村純のアバター 中村純 株式会社オフィスNJ代表

株式会社オフィスNJ代表 中村純

大学を留年し同期から半年遅れで卒業。フリーター&バンドマン時代を経て、バンド活動の終了とともにマーケティング・コピーライティングの世界を知る。

2015年6月、(株)コンサルタントラボラトリーに参画。

以降、社内のコピーライティング全般を手がけるほか、広告・販売戦略の立案やマーケティングファネルの設計、安定的に毎月“完全自動”で売上が上がる仕組みの構築なども手がける。

コンラボ社に参画してからの約3年半の間にコピーで関わった案件の総売上は7億4529万円以上。

現在は独立し、企業や団体のサポートをする一方で、『個人起業家のためのベーシックなマーケティング&コピーライティングスキル教育のインフラを構築する』ためにコンテンツビジネスを展開している。

目次