電子書籍マーケティングの成果は、一つの数字や他者の平均値だけでは判断しません。最初に目的を一つ選び、その目的に対応する観察箇所、観測期間、確認できた事実、次の改善を一組にします。
僕は、電子書籍の価値を印税だけでなく、商品づくりや発信の継続まで含めて考えてきました。そのうえで、企画、執筆、発売、読後導線のどこで継続が止まっているかを分けて見ます。
出版後も、ランキングや販売数を確認して終わりにはしません。数字は確認できる事実ですが、読者が何を受け取り、読後に何を判断できるようになったかまでは示さないからです。読者の変化を主目的にする場合は、「何を理解できる本か」「読後に何を自分で選べるか」を先に決め、その変化に対応する箇所を観察します。
この記事では、目的 / 読者が受け取る変化 / 観察箇所 / 観測期間 / 確認できた事実 / 止まる工程 / 次に変える一つ / 再観測日を書き出します。一つの目的について、一つの変更と一つの再観察を決められれば完了です。
成果を判断する目的を一つ選ぶ
最初に、電子書籍で何を確かめたいかを一つ選びます。目的が複数あるまま数字を見ると、何をもって前進とするかが変わり、次に直す場所も決められないからです。
次の候補から、今回の主目的を一つ選んでください。
| 目的候補 | 期待する読者または制作の変化 |
|---|---|
| 知識整理 | 読者が一つのテーマを順に理解できる |
| 読者接点 | 読者が本の内容と自分の状況を照合できる |
| 登録 | 読者が本とは別の任意の案内を検討できる |
| 商品理解 | 読者が対象、範囲、適合条件を確認できる |
| 専門性 | 読者が経験、主張、根拠を検討できる |
| 制作継続 | 次の制作で使う工程と確認責任が分かる |
選んだ目的について、誰に、どのような変化があれば、目的に近づいたと判断するかを一文にします。複数を選びたい場合は、主目的を一つ、残りを副目的として分けてください。今回は主目的だけを観察します。
目的そのものを一つにできない場合は、電子書籍マーケティング総合ガイドへ戻り、本の役割を決め直してください。
目的に対応する観察箇所と期間を書く
目的が決まったら、どの工程の何を見るかを決めます。目的と観察箇所が対応していなければ、確認した数字が変わっても、目的に近づいたかは判断できません。
| 書く項目 | 確認すること |
|---|---|
| 見る工程 | 企画、執筆、発売、読後導線など、どこを見るか |
| 観察する事実 | 実際に確認できる行動、内容、状態は何か |
| 観測期間 | いつからいつまで同じ条件で見るか |
| 比較前の状態 | 変更する前はどのような状態だったか |
| 記録する人 | 誰が事実を記録するか |
主目的と観察箇所を一文でつなぎ、関係を説明できれば観察を始めます。たとえば専門性が目的なら、収益だけで判断せず、読者が経験や根拠を確認できる構成になっているかという対応箇所を選びます。
観察を始めたら、決めた期間の途中で見る工程や判断基準を変えません。停止している工程自体が分からない場合は、結果を決める前に工程別の診断へ回します。
確認できた事実と解釈を分ける
観測期間が終わったら、確認できた事実と、そこから考えられる理由を別の欄へ書きます。事実と解釈を同じ文にすると、一つの結果から原因を決めつけやすくなるためです。
| 記録欄 | 書く内容 | 書かないこと |
|---|---|---|
| 確認できた事実 | 実際に見た行動、表示、内容、停止した工程 | 推測した原因 |
| 考えられる理由 | 事実から検討できる複数の可能性 | 一つに決めた原因 |
| まだ分からないこと | 今回の観察では確認できなかったこと | 想像で埋めた結論 |
| 次に確かめる一問 | 理由を絞るために次に確認すること | 複数工程への質問 |
左の事実だけを読んでも同じ内容を確認できるように記録します。右の理由は仮説のまま残し、一つの結果や平均値から原因を断定しません。収支、税務、個別売上、第三者実績を、別の目的を判断する一般基準にも使いません。
事実が足りなければ、観察箇所へ戻って不足材料を一つ追加します。事実と理由を分け、次に確かめる一問を一つ作れれば、改善を選ぶ準備が整います。
次の改善を一つだけ選ぶ
最後に、今回変えることを一つだけ選びます。複数の工程を同時に変えると、次の観察で何が影響したかを分けられないからです。
| 書く項目 | 完了条件 |
|---|---|
| 変えること | 一つの工程にある、一つの項目へ絞れている |
| 変えないこと | 比較のために維持する条件を説明できる |
| 再確認日 | いつ同じ観察箇所を見るか決まっている |
| 観察する事実 | 次回に何を確認するか一つに決まっている |
| 完了条件 | どの状態になれば変更と記録を終えるか分かる |
一変更・一観察になっていれば実行候補です。複数工程を変えようとしている、再確認日がない、観察する事実を決められない場合は保留し、前のH2へ戻って次に確かめる一問を絞ってください。
目的から観察箇所、観測期間、次の改善へ進む関係を、次の図で確認します。


変更対象が制作工程にある場合は、担当する作業、確認者、完了条件、停止点を分けます。
停止工程が分からない場合や、原因仮説を一つの確認事項へ絞れない場合は、工程別の診断へ進んでください。
最後に、目的 / 読者が受け取る変化 / 観察箇所 / 観測期間 / 確認できた事実 / まだ分からないこと / 変える一つ / 変えないこと / 再確認日を一続きで説明します。一つの目的について一つの変更と一つの再観察を決められれば、電子書籍マーケティングの成果を判断する準備は完了です。
全体の主目的を変える場合は、電子書籍マーケティング総合ガイドへ戻ってください。
電子書籍のKPIは、目的ごとに一つ先の行動まで見る
ランキングや販売数だけでは、電子書籍マーケティングのどこが機能しているか分かりません。目的、観察する数字、次の接点をそろえます。
| 目的 | 観察候補 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 読了・理解 | 読者の質問、反応、修正点 | 本の約束を回収できたか |
| 登録 | 案内到達、登録、解除 | 登録理由と配信主題が一致したか |
| 商品理解 | 説明ページ到達、質問、選択 | 本の関心から飛躍していないか |
| 改善 | 工程別の停止点 | 一度に一項目だけ直したか |
比較期間と確認日を決め、確認できた事実と理由の推測を分けます。数字が動かなかった場合も、複数施策を同時に変えず、停止点に最も近い一項目を選びます。












