電子書籍のタイトルと表紙は、選ばれそうな型から作りません。最初に、誰が、いま何を知りたくて、読後に何を判断できる本なのかを一文にします。
その一文から、タイトルには主な約束、サブタイトルには対象と範囲、表紙には視覚の焦点を割り当てます。三つへ同じ説明を繰り返さず、本文にない結果も加えません。
この記事では、約束文を作り、タイトル、サブタイトル、表紙の順で役割を分け、最後に本文の回収箇所まで確認します。誰が、何を知りたくて、読後に何を判断できる本かを三要素で重複なく伝えられれば完了です。
読者が今知りたい一点を書く
先に決めるのは、目立つ言葉ではなく、本で答える一点です。扱う内容を全部並べると、読者がいま知りたいことと、著者が約束することの境目が見えなくなるからです。
僕は、広い全体像を見せるより、読者が今知りたい一点を具体的に約束することを重視してきました。入口で大きな成果を言うのではなく、対象、問い、読後の判断をつなげる。そうすれば、何をタイトルへ入れ、何を本文へ残すかを決めやすくなります。
まず、次の四項目を一文ずつ書いてください。
| 書く項目 | 確認すること |
|---|---|
| 対象 | 誰の、どんな状況に向けた本か |
| 今の問い | その人が、いま何を知りたくて止まっているか |
| 読後の判断 | 読後に何を選べる、比べられる、確認できるか |
| 扱わないこと | この本では約束しない結果や専門外の範囲は何か |
四項目から、○○な人が、△△について知り、読後に□□を判断できる本という約束文を一つ作ります。複数の問いや結果が入った場合は、読者が最初に必要とする一点だけを残してください。
対象が曖昧な場合は、タイトルを考える前に読者の状況へ戻ります。
タイトルは主な約束だけを担わせる
約束文が決まったら、対象語、問い、読後の判断を抜き出します。すべてをタイトルへ詰め込むのではなく、読者が本の主題を見失わない範囲で、中心の問いと判断を残します。
| 候補ごとに書く項目 | 判断すること |
|---|---|
| 対象語 | 誰向けかを示す言葉が必要か |
| 問い | この本が答える中心の問いは何か |
| 変化または判断 | 本文で回収できる読後の判断は何か |
| 本文との一致 | その言葉へ答える章や節はどこか |
候補を作ったら、一つずつ約束文と照合します。本文の範囲と一致し、内容にない結果や強すぎる言葉を含まなければ候補に残します。クリックや販売の結果を約束する型としてではなく、本の内容を読者が確認するための題名として選んでください。
約束文と合う候補を一つ選べない場合は、タイトルを増やすのではなく、最初のH2へ戻って問いを絞り直します。
サブタイトルは条件と範囲を補う
サブタイトルは、タイトルの言い換えではありません。タイトルだけでは分からない対象や範囲を補い、新しい約束は増やさないようにします。
| 補足候補 | 書く内容 |
|---|---|
| 誰向けか | 読者の状況を伝えるために必要な条件 |
| 何を扱うか | 本文で説明する範囲 |
| 何を扱わないか | 誤解されやすい対象外の範囲 |
三つの候補から、タイトルにない補足を一つ選びます。タイトルと同じ説明なら削り、本文にない別の成果を加えたなら約束文まで戻してください。
読者の言葉から扱う問いを決め、タイトルへ主な約束を置き、サブタイトルと表紙で補う。三要素の関係は、次の図で確認できます。


[図解: EBOOK-2-4-R5-F01]
タイトルとサブタイトルを続けて読み、対象、問い、読後の判断が分かり、同じ内容を重ねていなければ次へ進みます。
表紙は視覚の焦点を一つ決める
表紙では、言葉を増やす前に読む順番を決めます。タイトル、サブタイトル、補足情報を同じ強さで置くと、最初に何を読んでほしいのかが曖昧になるためです。
| 読む順番 | 決めること |
|---|---|
| 最初に読ませる語 | 本の主な約束を示す言葉 |
| 次に読ませる語 | 対象や範囲を補う言葉 |
| 小さく補う情報 | 著者名など、約束を増やさない情報 |
三段階の役割を分け、最初の約束文と一致していれば表紙案は完成です。視覚の工夫で新しい効果や結果を付け足した場合は、その表現を外します。
最後に、タイトルで約束した一点を本文が回収しているか、次の表へ記録してください。
| 確認箇所 | 回収する内容 |
|---|---|
| 導入 | 誰のどの問いへ答える本か |
| 本文 | 問いへ答える理由、手順、根拠があるか |
| 結論 | 読後にできる判断を明示しているか |
| 回収できない約束 | 削るか、本文素材の棚卸しへ戻すか |
約束を回収できる章や節を一つずつ示せれば完成です。本文素材が足りない場合は、既存素材を棚卸しして、答えに使える経験と根拠を組み立て直します。
最後に、誰が、何を知りたくて、読後に何を判断できる本かを、タイトル、サブタイトル、表紙の役割に分けて説明します。さらに本文の回収箇所まで示せれば、電子書籍のタイトルと表紙の設計は完了です。
全体の目的を見直す場合は、電子書籍マーケティング総合ガイドへ戻ってください。
Kindle本のタイトル・サブタイトル・表紙を同時に確認する
タイトルは主な約束、サブタイトルは対象や条件、表紙は視覚の焦点を担います。検索されそうな語をすべてタイトルへ詰め込むと、読者へ何を約束する本なのかが見えにくくなります。
| 要素 | 一つだけ決めること | 避けること |
|---|---|---|
| タイトル | 読者が今知りたい主な一点 | 本文にない成果、キーワードの羅列 |
| サブタイトル | 対象、場面、扱う範囲の補足 | タイトルと同じ説明の繰り返し |
| 表紙 | 小さな表示でも最初に読ませる焦点 | 要素を増やしすぎる、本文と違う印象 |
| サイズ・データ | 公開時点のKDP公式要件との一致 | 過去の寸法や仕様を固定情報として使う |
最後に、三要素を見た読者が期待する内容と、本文で実際に渡す内容を一文ずつ書きます。二つが一致しなければ、表現を強くする前に本の約束へ戻ってください。












